治療の裏ネタ

代替医療に健康保険を!?

Mixiのシュタイナーコミュで代替医療の保険適応について論争したことがあります。

きっかけはイギリスでホメオパシーが保険治療の対象から外されたことでした。
ホメオパシーはヨーロッパで19世紀に??作られた治療法ですが、以前から
その医学的効果に疑問がもたれていたため、イギリスでホメオパシーの医学的根拠を検証する大規模な研究がなされました。最近その結果が出て、医学的根拠が否定されたんですね。それをうけて保険適応からはずされました。

そのことがMixiで紹介されていたので、私は「EBMがないのならしょうがないね」という書き込みをしました。

そうしたら、日本の人智学運動で指導的立場にある人が、「これから先は、治療法選択の多様性を認めるように目指すべきだ。」と反論されました。

彼の主張は

・今までは医師が治療法を選択してきた。
・EBMに関係なく、患者に治療法選択の権利をゆだねるべきである。
・医療の無駄、たとえば過剰な薬剤投与や薬剤開発コストを押さえれば、代替医療のコストくらい振り返られるだろう。
・代替医療の予防効果を考えれば、医療費抑制につながる可能性が大きい。

というものです。
私は次のように意見を述べました。
・西洋医学でも、治療法の選択権は患者の側にあるとする流れが、患者の希望するすべての治療法を保険治療の中にいれるのは財政的に無理がある。
・保険治療は命に関わること、緊急を要すること、難病など回復困難な疾患、治療効果の高いものなどを優先すべき。
・日本の医療は先進国最低水準の医療費で最高水準の医療を提供している。その医療が崩壊途上にあり、それをなんとしても阻止しなければならない。
・代替医療の予防効果が医療費抑制につながる可能性は、鍼灸・柔整などの保険治療の現状を考えれば、かなり低いだろう。抑制コストを、不要な診療によるコストが上回る方が大きい可能性がある。
・予防的な治療をするのは、簡単なように思うかもしれないが、実際の臨床的にはかなり難しくできる人は限られている。

等々の意見を交換しました。

こういう人たちは変革が先にあって、日本における危機的状況をどうするかなんてあまり考えないので、論争にはなりませんが、中国医学の最右翼にいる私でも、彼らの意見は支持することは出来ません。われわれ代替医療に関わっている者は、代替医療は根幹部分で現代医学の代わりをすることは出来ないということを意識しておく必要があります。

「医療経済学」なる学問があって、医療と保険治療を考えるにあたってははずすことが出来ません。入門医療経済学という新書版の入門書までありますから、関心のある方はそこから勉強すると良いです。

今回はあんまり裏ネタっぽくなかったなぁ・・・


シャンプーやめて髪が健康になった!?

前々回前々回の記事で話題にした『傷はぜったい消毒するな』は、
いろんな裏ネタを提供してくれるので、もうちょっと続けてみよう。

今回はシャンプーの裏ネタ。

私は来月で46才になる。
母親方の祖父の血を多く受け継いでいて、
もともと髪の毛が多くて太くて硬かった。

ところが10年近く前からだろうか、
髪の毛が細くなりはじめ、抜け毛も多くなった。
前頭あたりは地肌が見え始める。
離島ハゲ?
ちょっと悲しい・・・

原因は歳のせいとか、開業したからとか、
結婚して、子どもが出来て・・・
まあいろんなことが重なった、
というのは多かれ少なかれあるだろう。

と思っていた。

ここで『傷はぜったい消毒するな』が登場。
第10章11節に「石鹸、シャンプーと皮膚の健康」とある。

この章の主旨は、
「石鹸には界面活性剤が含まれているので、
たくさん使うと皮脂が流され皮膚の状態が悪くなる。」
というものだ。

夏井先生はここで、ひとつのことを思いつく。

「頭皮から分泌されるもので水溶性でないものはない。」(P228)

ということは、
お湯で洗い流すだけでいいんでは?

まあ、当然思いつくことである。

夏井先生は次のように書いていらっしゃる。

実験的にシャンプーの使用を一切止め、一日一回の温水洗髪にしているが、
驚くことにシャンプーを止めてから、明らかにフケが減り、痒みが無くなり、
しかも抜け毛も減少した。おまけに、枕カバーにつく臭いも少なくなり、
毎日シャンプーで洗髪していた頃の方が明らかに変な
酸っぱい臭いだったことを記憶している。(P228)

理由は界面活性剤が皮膚の状態を悪くするし、
常在菌が減ってそれ以外の細菌が増えたのでは?
ということだな。

これは試してみる価値あるんじゃないかね?
ということで、試してみた。

結果は・・・
夏井先生と同じような感じになった。
髪の表面のぱさつきもなくなっている。

まあ、いちどやってみてください。
ただし整髪料やタバコ・焼肉なんか
の臭いは取れないようだ。

あたりまえだが・・・


骨盤のゆがみが病気の原因だった!?

骨盤のゆがみが原因だった!
O脚やXO脚・生理痛・腰痛・肥満・肩こり・不眠・肌荒れ・・・
まあ、こんなうたい文句で、

整体、カイロプラクティック、オステオパシー・・・

いろんな治療テクニックが、
自らの正当性を主張して骨盤治療をしています。


しかしねぇ、見方を変えれば、見えてくるものが全然違ってきます。
たとえば、

骨盤のゆがみは筋肉バランスが原因だった・・・
骨盤のゆがみは経絡の虚実のバランスが原因だった・・・
骨盤のゆがみは五臓六腑の弱りが、骨格に影響を与えたものだった・・・
骨盤のゆがみは深い呼吸ができていないからだ・・・
骨盤のゆがみは冷えが原因だった・・・
骨盤のゆがみは悪い姿勢が原因だった・・・

いくらでも考えられますが、どれも間違いではない。

逆にすると、

筋肉のバランスを変えると骨盤のゆがみが矯正されます。
経絡の虚実をととのえると骨盤のゆがみが矯正されます。
五臓六腑の治療し調えると骨盤のゆがみが矯正されます。
深い呼吸法の訓練すると骨盤のゆがみが矯正されます。
冷えを改善してやると骨盤のゆがみが矯正されます。
姿勢を良くしてやると骨盤のゆがみが矯正されます。

治療法にこだわらずいろいろ試してみると、
たしかに、どの方法でも骨盤のゆがみが矯正されます。
でも、できないときも多々あります。


これって繋いでみると面白いです。
骨盤のゆがみ←背骨のゆがみ←悪い姿勢←五臓六腑の弱り←浅い呼吸←冷え←骨盤のゆがみ
各々の順番は入れ替えても良いですが、
左の原因が右と考えてつないでやると、筋が通った
原因のループができます。

じゃぁ何が真実なの?

って疑問が湧いてくる人、たくさんいるんじゃないかなぁ~


答えは

治ればどれでも良い(笑

どこからかループを断ち切って、他の原因を解消すればOK
なんですね。でも一つのことをもってして他のものすべてを変えられるか?
っていうと、ちょっと無理がある。


鍼灸は基本的に経絡と臓腑を念頭に置いた独自の理論を元に治療していきます。
それで骨盤や背骨のゆがみ・ロックが改善するんですが、しないこともある。
そうすると直接関節操作してやる方がいい。

逆に骨盤や背骨を操作して、どんだけ臓腑の状態を改善できるかっていうと
なかなか難しい。テクニックの限界や個人の能力も関わってきますしね。

重要なのは治療家が、いろんな患者さんの全体性をどのようにみ、
使える治療法の品数をどれだけふやすか?ってことですね。
そうすればより多様な患者さんの治療ができます。

でもね~それって難しいし、限界もあるので、
専門分野で勝負てな経営戦略を取るのがいいでしょうねぇ。
治療家にとればね。

苦手なのは他にまわってもらえばいい。
治療院を継続できるだけの
患者さんがくれば、それでいいですからね。


ヒーリング?高次元からの治療

今回はちょっと専門的でアヤシイ話。
難しい用語も出てくるけど、分からない人はスルー
するか、調べてね。

ある人智学の講演会後の喫茶店で、以下のようなことがあった。

人智学とはシュタイナーという思想家が20世紀初頭に展開した思想で、
神学・霊学・教育・医学・農業まで幅広い範囲をカバーしている。
シュタイナー教育というのを聞いた方は多いだろうし、政治の世界で
流行っているベーシック・インカムはシュタイナーの社会論がベースになっている。
田中康夫はこれを主張して昨年の衆院選に当選した。

それはともかく、日本の人智学運動のリーダー的存在の方の講演会に出席した
あと、参加者どおしてお茶を飲んだ。見知らぬ人とでも、フレンドリーに
会話が弾んで、たのしい集まりなのだ。

ヒーラーを自称する女性がこんなことを言った。

西洋医学とか、中国医学とかと違って、高度なところから治療しています。

隣にいた、旧友とちょっと目が点になりつつも、ヒーラーの女性の話をつづけて聞いた。

ようするに、霊的次元から治療を行っているので、西洋医学や中国医学
よりも高度な治療をしていると言いたいらしい。

洋の東西を問わず、宗教的には人間を霊魂体(spirit,soul,body)三分節化
して考える思想は一般的だった。宗教によって、いろいろなバリエーションは
あるが。中国医学にもあるのだが、手法上は肉体に働きかける。霊や魂に
働きかけるのは導引・気功・道教なんかの技法になる。

私が「そりゃぁ、違うでしょ」ってこの女性に対して反論したのは、

霊から肉体に働きかけることが、肉体にとってより高度な治療なのか。

ということ。
人間にとって、霊は形相因で、魂や体は質量因である。
形相は質量の原因なのだから、より高次にあるという考えは分かる。
しかしその霊から体に対する影響力は、物質が体に働きかける力よりも
弱い。

たとえば多くの病気は、薬を処方したり、鍼や灸をしたりして治す方が
早く確実に治る。ヒーリングにどれだけ治療効果のエビデンスが
あるのか知らないが、薬の服用や鍼・灸など、直接肉体に
働きかける方が効果があるのは事実である。
それはなぜなのか?
多くのヒーラーに欠ける、決定的な観点だ。

そもそも、自分がやっている行為の副作用について
考えたことがあるのだろうか?と思わせるヒーラーが
多い。有能な心理療法家は心理療法の各々のテクニックに関して、
メリット・デメリット・限界などを学んでいる。

そういう意識があるヒーラーはほとんどいないのでは?
と、いろんな情報を見聞きしていて思う。


東洋医学は、ゆっくり効いてくるもの?

漢方薬とか、鍼灸ってじっくり効いてくるもんですよね?
なんてことを、よく質問されます。

でもねぇ、これって間違ってます。
急性病ならすぐに、特に鍼灸の場合は治療直後になんらかの
変化が起きてないのは、効いていないということです。
例外もありますが、ほとんどの場合は効果がなかったという
ことです。


慢性病でも、患者さんご自身で自覚できるかどうかは
別にして、治療後になんらかの変化が起きてないということは
その治療が効かなかった、ということです。

でもこれは仕方ないです。

難度の高い疾患だったかもしれません。
治療家が下手だったのかもしれません。
得意分野じゃなかったのかもしれません。
攻め方がまずかったのかもしれません。

どれかは分かりません。患者さんが治療に
どう反応するかは、初診ではなかなかわかりませんからね。
だから患者さんも、1回で見限るのではなく、
5回くらいは通ってみた方がいいです。


治療が効かなかったら、別の攻め方をすれば
効くかもしれませんので、上手な治療家
は攻め方を変えてきます。また、3~5回くらい
治療すると、自分に治療可能かどうか、
患者さんがどう反応するかが見えてきます。

毎回、同じような治療しかしないのであれば、
その治療家はあまり上手くないと思います。
その時は治療院を変えましょう。


ただし、上記は一般的な話で、
患者さんの体がかなり悪い場合は、
強い治療ができないので、物足りない
感じの治療戦略を取ることが結構あります。
その場合は、患者さんご自身で、変化を
感じるのは難しいかもしれません。


鍼治療で完治するのか?

持病の腰痛がありまして、鍼灸治療を受けています。
3ヶ月ほど治療を受けていたら痛みは起こらなくなりました。
でも、先生から完治と言われていません。
これは鍼で痛みが無くなっているだけで、止めればまた
痛みだすのでしょうか?

こんなご質問を受けたことがあります。
こういうのはちょっと返答に困ります。
どう答えて良いのか難しい・・・

問題は二つあります。

一つは、「完治とはなにか?」ということ。

もうひとつは「鍼で痛みが無くなっているが、止めればまた
痛み出すのか?」ということです。

この二つは別問題ですね。

まず、完治とは何かですが、
これは患者さんが、
治療をどこまで求めるかによって違ってきます。

鍼灸というより中国医学の考え方として、
標本という考え方があります。

標というのは、まあ目に見えている症状とでも
言ったらいいでしょう。

腰痛なら、腰が痛い・足が痺れる・・・
なんかの症状がありますね。
これらの症状が治まってしまったのを治るとする考え方。

もうちょっと広げてその原因となっている
背骨や骨盤のゆがみなどがなくなること、関節の可動性が改善する
ことなどです。

腰椎の変形やヘルニアなどは鍼灸で直接的に
治すことはできませんから、そういうのがあっても症状が
取れれば完治とする考え方。


標本の本は、症状を起こしている体調・体質ということです。

中国医学では、病気だけでなく、それを引き起こす体質・体調
を調えるのを重要視します。中国医学と西洋医学の治療観で
大きく違う部分ですね。それを大本(おおもと)ということで、
標本の本とよんでいます。

最初の質問に戻りますけれども、腰が痛いので、とりあえず
それが治ればいいということであれば、
痛みが取れれば(標の治療)完治ということですし、
その原因まで治したいといのであれば、その部分(本の治療)
が良くなった時点で完治と考えればいいでしょう。

それは、患者さんと治療者の治療目標の設定基準を
どこに置くかの問題です。


もうひとつの「鍼で痛みが無くなっているが、止めればまた
痛み出すのか?」という点についてですが、
これは原因が何かによるでしょう。

これは「完治とは何か?」の説明と重なる部分が多いですが、
ポイントは症状の原因に本(体調・体質)がどれだけ影響している
かによって違ってきます。

たとえば一時的にカゼをひいたとか、食い過ぎが続いたとか
で起きる腰痛があります。これはカゼや食い過ぎの治療をすれば
すぐに治ります。

でも、体質的にカゼをひきやすいとか、胃腸が弱くてすぐに
下痢をするとかで、腰が悪い人は、その体調・体質そのものを
変えないと、腰痛をなんども起こすか、症状が軽減しても
ずっと治りきらないとかということになります。


治療にあたってはそれを見極めて治療します。
「鍼で痛みが無くなっているが、止めればまた痛み出すのか?」
というのは、各々の患者さんによって違います。